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■ 今診療報酬改定に日医代議員会が抗議文(平成14年4月12日)

 日本医師会代議員会は4月9日、関原敬次郎議長と石川育成副議長の連名で、小泉純一郎首相、安倍晋三内閣官房副長官、与党三党の政務調査会長などにあて、史上初のマイナス改定となった今回の診療報酬改定に対する抗議文を提出した。抗議文では今回改定の影響が「2.7%のマイナスにとどまらない」と指摘するとともに、医療の質が低下することを懸念。国民医療の崩壊を招くなどとして「直ちに再度改定作業を行うべきである」と要求している。  同日会見した青柳俊副会長は、今回のマイナス改定への対応を短期的な課題に位置付けた。今後、審査支払データなどをもとに、「(シミュレーションではなく)実績としてモニターしなくてはならない」との考えを強調。施設の種別、規模、診療科ごとに改定の影響について実績をベースに検証し、「(想定された改定幅との)ズレが生じるのであれば、(日医として)データを集積したうえで、中医協の場で議論していかなくてはならない」と述べ、再改定の確保に向けて根拠となるデータを収集し、中医協に臨む方針を示した。

【抗 議】 

平成14年4月2日開催の第106回日本医師会定例代議員会において、緊急動議が提出され、議決されたので、左記の通り厳重に抗議する。

   

今回の診療報酬改定は、財政面の視点による大改悪であり、単なるマイナス改定にとどまらず、医療の本質を無視した暴挙である。

 この無定見な改定による影響は、想像を遥かに超え、2.7%のマイナスにとどまらない。

 保険診療の抑制と保険外負担の大幅な拡大等により、国民の受療権が侵害され、国民の命と健康が危険にさらされるのは明白である。

 また、医療現場を知らない小手先の点数操作により、多くの医療機関はその存在を脅かされ、医療の質の低下が懸念される。 今回の改定は、地域医療、即ち国民医療の崩壊を招く内容であり到底容認できるものではない。よって、直ちに再度改定作業を行うべきである。

 我々は、医療制度改革の必要性を充分に理解し、マイナス改定もあえて甘受したが、「医療の本質」を揺るがす改悪には、国民の健康を守るために、地域住民と共に手を携えて、最後まで闘うことを宣言する。ここに日医15万会員の声を代表し抗議する。


日医インターネットニュース

■坂口厚労相は診療報酬再改定要求に静観の構え。影響率は2%程度と試算

 坂口力厚労相は12日の閣議後の記者会見で、日本医師会代議員会から診療報酬の再改定を求める抗議文が提出されたことを受け、今回の医療費マイナス改定の影響は「医師会がいうほど低下すると思わない」と述べ、事態を静観する姿勢を強調した。日医代議員会の抗議文では、とくに整形外科分野で29%低下するとの指摘があったとしながら、「これはリハビリとか湿布などの消炎鎮痛分野だけを取り上げていっているものだ」と指摘。さらに厚生労働省の試算では、「全体としてみると(影響は)2%程度」とし、医療費改定率2.7%の範囲内に収まるとの考えを示した。ただ実際の医療費改定の影響については、4〜6月までの3か月を経て一定の傾向が明らかになるとの認識を示し、「その後は中医協で議論されることになるので、私がどうこう申し上げる問題ではない」と述べた。
 なお、今回の日医代議員会の抗議に対して、政府・与党内の反応は、4月改定の医療機関への影響を十分見極めるためには半年程度を要するとの認識から、坂口厚労相と同様、事態を静観する意見が大勢を占めている。ただ、マイナス2.7%(うち診療報酬1.3%)を超える影響が出るのであれば何らかの措置を講ずべきとの意見が一部にある一方、改定財源の確保などで現実的には極めて難しいとの指摘もある。中医協は17日に、改定後初の総会を開くことにしており、ここで診療・支払各側がどのように今回の改定を分析するか注目される。
4月15日 メディファクス


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