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●高齢者最大13倍強の負担 医療制度改革のポイント

 健康保険法改正案など2002年度医療制度改革で負担はどう変わるのか。暮らしへの影響が大きいポイントをまとめた。
 

【高齢者医療制度】
 70歳以上の高齢者の自己負担は10月から定率一割が徹底され、夫婦世帯で年収約630万円以上なら二割となる。外来では、月3000-5000円(四月からは3200―5300円に引き上げ)の支払いで済んでいる現在の上限制が廃止され、所得に応じた月8000―40200円の新たな負担限度額ができる。最大で13倍強の負担となる計算だ。
 窓口で自己負担額をいったん支払った後、限度額を上回った分の払い戻しを受ける支払い方法に変わるため、負担感はさらにアップする。入院の際の負担限度額も低所得者を除き重くなる。
 
【現役世代の医療制度】
 サラリーマン本人の外来・入院と家族の入院の自己負担が2003年4月から3割(現行2割)に上がる。公務員なども同様。外来の際に薬剤費の一部を別途負担している薬剤一部負担金が廃止され、自己負担のアップは軽減される。現在でも自己負担が三割の自営業者など国民健康保険の加入者はその分負担が軽くなる。
 高額の医療費がかかった場合の負担限度額は02年10月から低所得者を除き14%前後上がる。
 
【保険料負担】
 サラリーマンの保険料の算定基準が03年4月に現在の月収ベースから年収ベースの総報酬制に変わる。中小企業の従業員が中心の政府管掌健康保険では同時に、保険料率が現行の7・5%(年収ベース換算)から8・2%に上がる。 ボーナスを含めた年収417万円(月給30万円)のサラリーマンのケースで、事業主負担を含めて年3万1000円の負担増になる。ボーナスの割合が多いほど保険料負担が重くなる。大企業などの組合健保も負担増になるケースが出そうだ。
 
【診療報酬改定】
 医療機関へ支払う診療報酬は四月から2・7%引き下げられるが、患者にとっては支払いが増えるケースも多い。入院医療の必要性が少ない「社会的入院」は、六カ月を超えると入院基本料を通常の約85%まで引き下げる。残りの15%をそのまま患者が負担すれば月4万―5万円の負担増となる計算だ。 また、大病院では差額ベッドの数を増やしたり、サービスに応じた特別料金や予約料を取りやすくなる仕組みに変わるため保険がきかない患者負担が多くなる。

[共同通信] 日医デイリーニュースH14.3.4より


●患者負担こう変わる 医療制度改革の影響 

 会社員や公務員などサラリーマンの自己負担はわずか5年余りで3倍、お年寄りにも大きなしわ寄せ―。今回の医療制度改革で負担がどのくらい増えるか、三世代同居の家族を例に計算してみた。(治療内容の違いや診療報酬改定の影響で、実際の額は個々のケースによって異なる)
 
【おじいさん(75)】
 慢性胃炎と高血圧で月3回通院の場合、平均的な医療費総額は5万1000円。現在一日800円の定額制を採用している診療所では自己負担は2400円だが、5100円と倍以上にはね上がる。定額制を廃止して一割定率制になる上、月四回3200円までという負担の上限もなくなるためだ。さらに70歳以上でも高額所得者(年収が単独で約380万円以上、夫婦で約630万円以上)は2割負担になる。
 
【お父さん(40)】
 気管支炎で一回通院の場合、初診料や投薬料で医療費合計は5000円。サラリーマンの負担は今の1000円から1500円と1.5倍に。
 
【お母さん(35)】
 サラリーマンの家族は現在外来が3割、入院が2割負担。これがすべて3割になる。ポリープ切除で二日間入院の場合、2万4000円が3万6000円に。
 
【こども(2つ)】
 三歳未満の外来は現行の3割負担が2割に引き下げ。ただ多くの自治体が乳幼児医療費の助成制度を実施しているため、改革による影響は自治体によって異なる。
 
【その他】
 七十歳未満の人が薬代以外に薬の種類と日数に応じて払わなければいけなかった薬剤費一部負担金が廃止に。また一定以上の負担を抑える高額療養費の限度額が引き上げられる。自営業者などが入る国民健康保険は通院、入院とも既に三割負担になっている。

[共同通信]日医デイリーニュースH14.3.4より


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