![]() 改訂版 (2002年10月31日 日本医師会) 〔患者負担〕 Q.患者さんが「高齢受給者証」を持参しなかった場合、原則として「2割徴収」となるが、この取扱いは老人保健対象者に交付される「医療受給者証」を持参しなかった場合も同様となるのか。 A.老人保健対象者については、法律上従来どおり10割徴収となっているが、従来どおり、医療機関での弾力的な対応が可能である。 Q.「「高齢受給者証」を持参しなかった場合は2割徴収」となるが、いったん2割を徴収し、1割負担であることが判明した場合、「差額を返す必要なし」とされている。患者さんが高齢であることも考え、医療機関から差額を返してもよいか。 A.弾力的な対応が可能である。 Q.上記のような弾力的な対応が可能であるが、再度の受診が延期・中止等となり確認できない場合も考えられる。患者さんへ連絡がとれない場合や、やむを得ない場合は患者負担の割合を保険者や市町村に問い合わせることは可能か。 A.個人情報保護条例の問題となる可能性があり、保険者や市町村によって対応が異なると思われる。 Q.世帯構成の変更などで負担区分が変わっても、古い「高齢受給者証」で患者さんが受診を続けた場合、「過誤調整は患者さんと保険者・市町村間で実施」となっている。2割徴収して1割になる場合は意味が分かるが、2割の負担区分になったのに、古い1割負担の「高齢受給者証」で受診を続けた場合、差額の1割分はだれからどのように支払われるのか。 A.「証」の回収は、実際には保険者・市町村の自主性に頼るしかない。「旧証」の回収と「新証」の交付が同時には行われていないのが現状である。しかし、医療機関としては患者さんが提示した「被保険者証」や「健康手帳」により資格を確認をするしかない。「旧証」による受診があった場合には、患者さんに今後「新証」を提示していただくことをお願いするのが基本であるが、やむを得ず対応する場合には、「旧証」の受給者番号により請求し、負担割合の差額は、患者さんと保険者・市町村の間で調整される。 Q.同一月に1割徴収と2割徴収が生じた場合、レセプトはどのようになるのか。 A.まずは、その患者さんが継続的に通院されるのであれば、「高齢受給者証」を持参しなかったからといって2割負担を徴収するのではなく、1割を徴収して次回受診の際に「証」を確認するなどの弾力的な対応をしていただきたい。その上で、やむを得ずこのような状況が生じた場合には、その月のレセプトは、「証」による負担割合の確認の前後に応じた1割負担のものと2割負担のものの2種類を作成することになる。 Q.老人の一部負担については、850円×4回、3,200円、5,300円等の上限額があったが、10月以降にも設定されているのか。 A.患者さんから一部負担金をいただくに当たって、当該医療機関で上限額が設定されているのは、入院患者と入院外において寝たきり老人在宅総合診療料(在総診)と在宅末期医療総合診療料(在医総)を算定している患者のみである。したがって、これら以外の患者は医療機関では上限額がない。 Q.窓口で徴収する負担額は1円単位まで徴収するのか。 A.1円の単位(10円未満)は四捨五入する。ただし、今回現物給付化されることとなった一定以上所得者の入院のケースにおいて、高額医療費の対象となるケース(自己負担限度額72,300円+(医療費−361,500円)×1%)については、1円単位まで徴収する。(1%負担に1円未満の端数が生じる時は四捨五入するので1円単位が発生する。) なお、診療報酬明細書(レセプト)には、入院患者および入院外の在総診・在医総を算定している患者さんのみ窓口で徴収した金額(1円の単位を四捨五入した金額(※注))を「負担金額」欄に記入する。それ以外の場合は記入する必要はない。 ※注:72,300円+1%の場合は1円の単位まで記入する。 Q.上記Q&Aや9/27付けで厚生労働省等から出された事務連絡(別紙2参照)によれば、窓口負担が1円単位で発生するとのことである。しかし、従来、保険医療機関等の窓口における事務処理の負担軽減を図るために、健保法第75条によって、一部負担金は10円未満の端数がある場合は四捨五入した額をもって実際に支払う額とすることになっているはずであるので、間違いではないか。また、1円単位まで徴収するとなると、窓口も患者さんも混乱するのではないか。 A.基本的にはご指摘のとおり、10円未満の端数がある場合には、1円の単位を四捨五入することとなっている。医療機関として留意すべきは、一定以上所得である患者さんが入院された場合の窓口負担である。その患者さんに係る自己負担額が限度額を超えない場合は、通常の窓口負担と同様に負担割合に応じて負担額を算出し、その場合、1円の単位は四捨五入の上徴収することとなる。 入院にかかる自己負担額が限度額を超える場合には、医療機関は限度額までの一部負担金を患者さんから徴収し、限度額を超える分については現物給付することとなる。 患者さんの自己負担限度額は、1円単位まで算出されることとなるので、医療機関が徴収する額も1円単位までということになる。 Q.当院は院外処方せんを発行しているが、一部負担金はどのように徴収することになるのか。 A.院外処方せんの発行の有無に関わらず1割か2割を徴収する。ただし、上限額がある患者さんについては、上限額に達するまで1割か2割を徴収する。 なお、調剤薬局でも1割か2割を徴収する。院外処方せんの「備考」欄に負担割合((高9)など)を記載する。(『健康保険法等の改正 関係資料』44〜45ページ参照) Q.70歳以上の高齢者の受診があった場合、窓口ではいくら徴収するのか。 A.来院受付時に「被保険者証」の確認とともに、「医療受給者証」、「高齢受給者証」または「減額認定証」(入院・在宅総合診療等の場合に医療機関での徴収限度額が減額されるため)の確認を行う。それにしたがって1割か2割の一部負担金を徴収する。 なお、入院している患者さんと在総診や在医総を算定している患者さんは、当該医療機関での窓口上限額が設定されているので、上限額に達した場合、それ以後の徴収は行わない。 Q.高齢受給者証を持参しなかったため2割を徴収したが,同月内の次回診療時に高齢受給者証を持参したため1割負担であることが判明した。医療機関としての事務の簡素化から1割と判明した後も同月内は2割を徴収することとしてよいか。 A.療養担当規則上、医療機関は毎回受給資格を確認し、法の規定による一部負担金を徴収することとされていることから、仮に2割負担について患者さんの同意があっても、1割負担が判明した時点から1割を徴収する。なお、1割と判明した時点で、医療機関において前回の2割徴収分について精算することは可能である。 〔3歳未満〕 Q.3歳未満は10月1日から2割負担になるが、3歳の誕生月の取扱いはどうすればよいか。 A.3歳の誕生月までは2割負担となる。ただし、月の初日が誕生日の場合は前月までが2割負担となり、誕生月から3割負担となる。 Q.3歳未満とは、3歳到達日の属する月まで(関係資料6ページ)とあるが、例えば、10月15日に3歳に到達する場合、10月末日までは2割負担ということか。 A.そのとおり。ただし、3歳到達日は誕生日の前日を言うため、設問の場合、10月15日が誕生日とすれば、到達日は10月14日となり、10月14日の属する月は3歳未満として2割負担となる。 〔世帯合算〕 Q.入院の自己負担限度額が世帯合算の限度額を超えるケースはどのような場合か。 A.世帯合算の限度額よりも患者さん個人の入院に係る自己負担額が多くなる場合は、医療機関の窓口において、世帯合算の限度額を超えた自己負担分を徴収する必要はなく、超えた額は高額医療費として審査支払機関(保険者または市町村)から医療機関に支給されることとなるが、具体的には、当該月のほとんどの期間入院しており、さらに当該月に手術等を実施している場合などが考えられる。一般の70歳以上の入院患者で、月の診療費が402,000円を超える場合、40,200円を超える一部負担金は徴収しないこととなる。 Q.入院の自己負担限度額とは個人個人のものではないのか。 A.入院の場合に医療機関において窓口で徴収する一部負担金は、各個人ごとにその負担区分に応じた世帯合算の限度額を上限として徴収することとなるが、保険者・市町村が支給する高額医療費の算定に当たっては、従来の高額医療費の取扱いと同様に、同一世帯の高齢者のその月の一部負担金を合計した額に世帯合算の限度額を適用して支給額を算定することになる。 なお、70歳以上の前期高齢者については、同じ制度に加入する70歳未満の者の一部負担金についても合算して保険者から高額療養費が支給されることとなっている。 Q.同一世帯の70歳以上(前期高齢者)が2名いる場合の世帯合算の限度額はいくらか。 A.老人医療の対象者を除く70歳以上の前期高齢者に係る世帯合算の限度額は、老人医療と同様、その所得区分に応じて以下のとおり。 一定以上所得者の世帯:72,300円+(医療費−361,500円)×1% 一 般:40,200円 Q.上記のケースで2名とも同一月に同一医療機関に入院した場合の支払限度額はいくらか。 A.患者さんの支払うべき入院の一部負担金が、世帯の限度額を超えた場合には、個人毎に世帯の負担限度額まで一部負担金を徴収することになる。その場合には、患者さんから保険者・市町村への申請を促し、保険者・市町村が高額療養費を算定する中で、世帯の限度額を超える部分が償還される。 Q.世帯の限度額を超えた入院負担は現物給付となっているが、他の医療機関にも受診がある場合や、家族が他の医療機関に入院している場合など合算限度額の把握はどのように行うのか。 A.入院の場合の自己負担限度額は、同一医療機関における個人単位の自己負担について設定されている。医療機関の窓口では、他の医療機関での自己負担や同一世帯の他の患者の自己負担とは合算できないため、患者さんの申請により、保険者・市町村から合算後の所要額が償還される。 〔多数該当〕 Q.一定以上の所得の患者さんが入院等で1年に4回以上対象となる場合は、4回目以降の上限は40,200円になるが、同一医療機関で継続して入院していれば確認できるが、転院等で他医療機関で該当していた場合、どのように確認するのか。 A.一定以上所得の患者さんについては、同一医療機関で負担の上限額を超える一部負担金となるケースが1年間で4回以上ある場合は、多数該当として4回目以降は40,200円を上限として一部負担金を徴収することになる。転院等があった場合には、これまで他医療機関においても負担の上限額を超えていたかどうかについては、医療機関で確認する方法がないため、同一医療機関で多数該当となる場合だけ40,200円を上限として取扱うことになる。また、患者さんから申告があったとしても、医療機関としては確認できないので、40,200円を上限として取扱うことは困難であることから、同一医療機関での適用となり、その場合には、患者さんから保険者・市町村への申請を促し、保険者・市町村が高額医療費を算定する中で4回目以降については、40,200円を超える部分が償還される。 〔公費負担医療〕 Q.老人保健と公費負担医療(特定疾患治療研究事業)の併用の場合の外来の窓口負担はどうなるのか。 A.公費分に係る自己負担は1回1,000円2回までという従来どおりの負担となる。公費以外は1割もしくは2割の負担となる。 〔在総診(寝たきり老人在宅総合診療料)・在医総(在宅末期医療総合診療料)〕 Q.定額制を届けていた診療所で在総診(院外処方せんを交付した場合)を算定した場合、従来は調剤薬局での患者負担はなかったが、10月1日以降はどうなるのか。 A.薬局においても患者負担(1割または2割)が発生する。 Q.在総診や在医総を算定し、院外処方せんを交付した場合、薬局で患者負担は発生するのか。発生するとすれば薬局での徴収も上限額までとなるのか。 A.薬局で患者負担は発生する。外来で上限額までとなるのは在総診等算定医療機関のみ(薬局では上限はない)。 Q.在総診や在医総の算定患者の一部負担が限度額に達した場合、それ以降の支払いはどうなるのか。 A.限度額に達した以降は一部負担を徴収しない。それ以降の分は高額医療費として審査支払機関から医療機関に振り込まれる。 Q.在総診の届出を行っていない医療機関では、12,000円以上の自己負担が生じた場合、窓口では自己負担額全額を受け取れるのか。 A.医療機関の窓口では、患者さんの一部負担金の割合に従って徴収する。高額医療費は後日償還払いとなる。 Q.在総診の患者さんについて一部負担金を月末の一括徴収は可能か。 A.制度上は、療養の給付を受ける者は、その給付を受ける際に一部負担金を支払わなければならない(健保法第74条等)とされている。 〔受給者証〕 Q.今回の改正により、従来の「老人医療受給者証」は引き続き使用できるのか。 A.70歳以上の老人保健対象者には新しい「老人医療受給者証」が交付されるので、10月1日以降、「旧証」は無効となる。 Q.70歳以上の一部負担として2割を徴収する患者さんを、医療機関ではどのようにして見分けるのか。 A.負担割合(1割負担か2割負担か)は、老人保健対象者については「医療受給者証」、医療保険適用の高齢者については「高齢受給者証」の「一部負担金の割合」欄に記載されるので確認されたい。 Q.前期高齢者の場合、医療機関の窓口では受診の際、「被保険者証」と「高齢受給者証」の両方を確認することになるが、どちらとも「記号」欄と「番号」欄には同じ数字が記載されると考えてよいか。 A.そのとおり。同じ数字が記載される。 〔前期高齢者(70歳以上75歳未満の医療保険の高齢受給者)〕 Q.いわゆる前期高齢者(医療保険の高齢受給者)の考え方については、どのように考えたらよいか。 A.75歳以上の者が老人保健となり、70歳〜74歳の者は医療保険となって、1割か2割負担となる。 なお、昭和7年9月30日までに生まれた人は、引き続き老人保健の対象となり、昭和7年10月1日以降に生まれた人は、70歳〜74歳の間は前期高齢者(医療保険の高齢受給者)となる。 Q.昭和7年10月1日以降に生まれた人は一般医療対象となるので、生活習慣病指導管理料は算定可と考えてよいか。また、在総診は算定不可と考えてよいか。 A.そのとおり。75歳になるまで生活習慣病指導管理料が算定できる。 〔保険者や市町村の責任義務〕 Q.高額医療(療養)費の仕組みが複雑になったが、申請や手続きについて、医療機関(特に診療所)が患者さんに説明するのはなかなか難しいのではないか。保険者や市町村には説明義務があり、きちんとした対応をお願いしたい。 A.申請は患者さん自身で行うのが原則であるが、市町村等で高額医療(療養)費を把握しているので、市町村等が支給対象となる者に対し勧奨を行うなどの対応を指導するとのことである。 〔退職者医療制度〕 Q.退職者医療制度は廃止されるのか。 A.退職者医療制度は存続する。なお、平成15年4月1日から医療保険(健保一般)の負担割合が原則3割となるので、退職被保険者の負担割合も国保の一般と同一となる。 Q.「退職者医療制度は存続」とあるが、55歳以上の退職者の任意継続の特例は、平成15年4月1日から廃止となっているのはなぜか。 A.55歳以上退職者の任意継続の特例は、55歳以上で退職した人について、2年を過ぎても60歳または60歳未満で国保の退職被保険者になるまでの間、任意継続被保険者になることを認めるもので、退職者医療制度適用までのつなぎ的な役割を果たすもの。退職者医療そのものではない。この特例は平成15年4月1日から退職被保険者の負担割合が3割となり、つなぎ的な役割を失うため廃止される。 〔継続療養〕 Q.健康保険の継続療養についてはどのような取扱いとなるのか。 A.初診の日から5年の範囲で継続療養の給付があったが、平成15年4月1日から健保の負担割合が国保と同じ3割となり、国保の一般と給付率が同じとなったため、同時に廃止される。 〔請求書について〕 Q.在総診と在医総の診療報酬請求書も1枚の診療報酬請求書に記載するのか。 A.在総診と在医総は、その医療機関での上限額が設定されているので、在総診と在医総だけの診療報酬請求書とそれ以外に分けて記載する。 〔明細書について〕 Q.外来の診療報酬明細書について、「一部負担金」欄は記載するのか。 A.患者負担が定率となったので、医療保険、老人保健とも記載の必要がない。 ただし、老人保健の医療で在総診と在医総を算定している患者さんについては、その医療機関での上限額があるので、上限額に達するまで徴収した金額を記載する。(上減額を実際に超えるか否かを問わない。) Q.診療報酬明細書の「本人・家族」欄は記載しなくてはならないか。 A.審査支払機関で負担割合が記載されていないと、医療機関への振込額が分からないので、該当する番号を○で囲むか記載する。 なお、「本人・家族」欄の取り繕い方法は別紙1を参照していただきたい。 Q.月途中で保険者の変更があった場合、従来どおり2枚の診療報酬明細書となるのか。 A.そのとおり。 Q.記載要領により公費単独医療のみで請求点数を老人保健の点数による場合、レセプトの特記事項欄に「老保」と記載することになっているが、10月1日以降はどうなるのか。 A.昭和7年9月30日以前に生まれた人は「老保」、それ以外の人、例えば昭和7年10月1日以降に生まれた人は何も記載しない。 〔高額療養費・高額医療費〕 Q.老人保健の高額医療費の支給申請書はどこに設置してあるのか。また、社会保険の高額療養費の申請先はどこになるのか。 A.老人保健は市町村。 |
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